IoTによる生産性向上POINT
広い工場の全体を一覧することで、人の動きとモノの滞留を把握。ボトルネック工程の特定と解消に繋げる
神崎鉄工株式会社
カメラシステムを用いてボトルネック工程を特定。
広い現場の管理を円滑に
建物の建築鉄骨の製造及び組立、自社開発製品の製造を行う同社は、扱う製品が大きいため、工場の面積も広大です。現場管理者は、巡回するだけで多くの時間を要するばかりでなく、作業への指示出しも、現場から状況を口頭で聞きながら行っていたため、時折両社の認識にずれが生じ、的確な指示が出せないケースもありました。
同社では、産業ロボットや切断機など、工場内の主要な機械にはセンサーを取り付け、IoT化に取り組んでいましたが、半自動溶接、資材の横持ち、小型機械、旧型機械など、センシングが困難で「人の目で管理する」ことが必要な工程の管理業務効率化が課題となっていました。
更に、コロナショックにより従業員(特に管理者)の出勤が突如停止となる状況が発生した場合、業務の大幅な停滞と、発注元への信用失墜が懸念されました。
これらの課題解決を目指したのが、今回の業務管理システム構築です。
実際の作業状況をリアルタイムに把握
作業管理、工程管理、労務管理、原価管理など、企業の売上や利益の算出に必要な管理指標の多くには、「人の動き」がかかわっています。
同社が今回導入したカメラシステムでは、まず工場各所で行われている作業を、管理者が一覧し、リアルタイムに指示を出せるようにしました。これまで困難だった「工程間の作業時間調整」や「現時点のボトルネック工程の特定」が行えるようになり、管理者の業務負担軽減のみならず、生産性の向上に役立っています。
さらに、業務日誌では「溶接作業 〇時間」と表示されていた作業を、「打ち合わせ」「段取り」「本作業」といったより細かい項目で把握できるようになり、作業効率化に向けたベースデータの蓄積が進んでいます。
将来は、収集した映像をAIで解析し、生産の最適化に向けた分析を進める計画です。
導入前に「一回自分の手でやってみる」
同社の神﨑 慶さんは、IoT導入に当たり、スマートものづくり応援隊であるNPO法人技術サポートネットワーク大分(TSNO)の足立さんから、「一回自分の手でやってみることが重要」というアドバイスを受けたといいます。データを見える化する前に、「どういうデータを取ったらいいのか」「収集したデータをどう使うのか」といった計画を、作業従事者、管理者の目線で事前に整理しておくことで、「導入したけどうまくいかない」「したいことと違うものができた」といったIoT導入によくある失敗を避けることができます。
「何を導入するか」よりも、「何に使うか」「どう使うか」の方が重要。
同社のIoT導入が実質的に経営に役立っている秘訣が垣間見えました。
- 企業名
- 神崎鉄工株式会社
- 所在地
- 佐伯市女島区10833-166
- 設立年
- 1947年
- 従業員数
- 40
- 代表者
- 代表取締役 神﨑 隆一
- 担当者
- 工務部 神﨑 慶
- TEL
- 0972-22-8111
- メール
- kanzaki-kei@kanzakitekko.jp
- ホームページ
- http://kanzakitekko.jp/