IoTによる生産性向上POINT
農家さんにも、従業員にも、「堅苦しくなく、見やすく、使いやすいIoT」を
くにみ農産加工有限会社
タッチパネル型のモニタートレーニングを使って堅苦しくなく、見やすく、使いやすいIoTを。
食の安全に、農家と一体で取り組む
同社では、食品安全システム認証の国際規格であるFSSC22000(Food Safety System Certification)を取得し、安全・安心な食品の供給を徹底しています。このシステムを着実に運用するためには、従業員の理解度・習熟度を効率的に向上させる必要がありました。
また、需要の拡大に伴ってバジルの契約農家数が増えてきており、特に新規参入の農家さんに対し、同社の求める方法・品質で栽培してもらい、収益を上げていただくための学習の仕組みが必要になってきていました。
農家さんも、従業員も、学ぶべきことが多い時期ほど多忙になるため、必要な知識を、空き時間に、効果的に入手する必要がありますが、社内規程や栽培のノウハウをインターネット上に公開することはできません。
このため、スマートものづくり応援隊である石井工作研究所と連携し、農家さんについてはバジル出荷時、従業員には業務が一段落した時間などに、気軽に学習してもらうタッチパネル型のモニタートレーニング「モニトレ」が開発されました。
お手本はYOUTUBE
システムの企画・制作を担当した中谷 大智 さんは、社長から「堅苦しくなく、見やすい動画を作る」よう指示を受けていました。動画制作の経験があった中谷さんが参考にしたのがYOUTUBE。視聴者に興味を持ってもらえる内容、時間を工夫しながら制作を進めました。
農家さん向けのバジル栽培動画については、次の収穫期である7月~8月に向け、今後視聴が拡大する見込みです。農家さんは、出荷に来た際にモニトレに立ち寄り、栽培の流れの中で必要な部分だけを選択し、学習することができます。
実際の作業状況を見ながら学ぶことで、文章では伝わらない「匠の技」や熟練者のノウハウも得られるため、出荷量や品質の向上が期待されます。
在庫管理もレベルアップ在庫管理もレベルアップ
同社がモニトレと同時並行で取り組んだのが、原料集荷・在庫管理の効率化に資するQRコードシステムの改良です。
バジルの受入日、収穫日、生産者名、圃場名、キロ数、等級などをデータとして実際の在庫と紐づけることで、これまでコンテナ単位で管理していた在庫管理の精度が大幅に向上し、「集荷当日の製造残」などの確認作業の負担も軽減しました。
農薬使用との関係で出荷してはならない「出荷禁止日」にはQRを発行できないようにするなど、農家さんと連携した品質管理体制にも寄与しています。
同社のIoTからは、システム部門、生産管理部門といった専門家集団のみが理解できる難解さではなく、従業員や農家全体を巻き込める楽しさ、とっつきやすさが感じられます。
現場に浸透するIoTソリューションを開発・運用する上で、とても重要な示唆を与えてくれる事例だと思います。
- 企業名
- くにみ農産加工有限会社
- 所在地
- 国東市国見町櫛来214-14
- 設立年
- 1981
- 従業員数
- 75
- 代表者
- 代表取締役 吉丸 栄市
- 担当者
- 原料課 中谷 大智
- TEL
- 0978-82-0600
- メール
- d-nakatani@kunimix.jp
- ホームページ
- http://www.kunimix.jp/