IoTによる生産性向上POINT
図面やリストを現場作業と紐付けることで、装置組立の「探す手間」を大幅解消
シェルエレクトロニクス株式会社
所在の特定をアプリで共有化することで探す時間の削減を目指す。
「探す時間」が3分の2
同社は、スマートものづくり応援隊として、他企業のIoT化を支援する企業でもありますが、今回は自社課題解決のため、IoT導入に踏み切りました。
その課題とは、装置組立業界共通の悩み事である「図面を読み解く時間」「現物を探す時間」などの「探す時間」が引き起こす作業の停滞です。
装置組立の現場では、発注者からCADデータがもらえる場合はそれを加工して各種作業に転用できますが、多くの場合は紙図面、PDFデータ等で受領するため、図面を詳細に理解したり、他図面と照合したり、現物と照合したり、配線に必要な「マークチューブ」を手打ちで作成したり、と膨大な手間が生じています。
業界の性質上、受注量が一時期に集中する傾向にあり、短期的に人を増やすのも困難な状況であるため、繁忙期に従業員に過大な負担がかかっていました。
同社の 森竹 隆広 社長は、「作業時間のうち、実作業をしている時間は3分の1程度。残りの3分の2の時間は何かを探している。この時間を有効活用できれば」と考えていました。
図面のPDFデータをフル活用
今回同社が県内IoT事業者と連携して導入を進めるシステムは、図面として受領するPDF
データから必要な情報を取り出し、業務に活用しようとするものです。
PDFデータは、形式によっては、記載されている文字をコピーできるものがあります。
発注者に依頼し、その形式で図面を受領すれば、例えば配線用のマークチューブ作成に必要な番号などは、ランダムに並んだ文字列から必要な部分のを選択し、抽出することが出来ます。
これが実現すれば、これまで多くの時間を取られてきた「付帯作業」「段取り作業」を大幅に効率化でき、実作業に集中できるようになります。また、図面の読み取りに自動化の要素を取り込むことで、経験の浅い技術者もミスなく短時間で作業を実施できるようになることも期待されています。
部材受入時のデータ整理で、その後の「探す」を簡単に
組立業務に係るもう一つの課題として、「点数の多い部材の現物確認」「部材の保管」があります。これまでは、支給部材の検品に時間がかかっていたほか、部材の所在が分からなくなってしまうこともありました。
熟練者は、「経験上、部品や配線の所在等がなんとなくわかる」らしいのですが、そうした「匠の技」に頼っていては業務は継続できません。
今回のIoT化では、エクセルでもらったデータ(品名、型式など)をデータベース化し、社内の保存場所情報と紐づけることで、そもそも入荷の有無や、所在の特定をアプリで共有化することで探す時間の削減を目指しています。
ものづくり現場だけでなく、多くの業務において、「探す手間」は効率化の優先順位の高い課題であるように思われます。
同社の今回のIoT導入の成果は、装置組立業界のみならず、様々な分野で応用可能なソリューションとなるでしょう。
- 企業名
- シェルエレクトロニクス株式会社
- 所在地
- 大分市青崎1-12-18
- 設立年
- 1990年
- 従業員数
- 34名
- 代表者
- 代表取締役 森竹 隆広
- 担当者
- 事業開発チーム
- TEL
- 097-528-8826
- メール
- h-ishii@shell-ele.com
- ホームページ
- https://www.shell-ele.com/